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写真−3 「げんたつ」の外観

等は、自己放電するため長期間使用するシステムには適していません。また、1次電池は使い棄てになるためランニングコストが高い短所があります。近年新しいタイプの動力源が開発されつつありますが、それらの中で水中の電源として有力な候補の1つが燃料電池です。水深500m用の耐圧容器に収納した固体高分子型燃料電池(写真−4)を開発しました。
5. おわりに
今まで、深海開発技術都では、深海を調査するための機器に限定して開発を行ってきました。これまで要求されていた深海調査の手法とは、海底表面について、正確な位置で、海底を観察でき、簡単な物理化学状態が計測でき、そして、海底から生物、泥等試料が採取できるといったものでした。よって、これを満足するような有人

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写真−4 燃料電池の外観

潜水船、無人探査機及びこれらに搭載されるペイロード機器が開発されてきたわけです。しかし、このような調査手法だけでは新発見が主であり、時代は発見からその解析の時代に変わってきました。また空間的にいえば、海底は独立してそのシステムを形成しているわけではなく、地球システムを構成する1因子に過ぎません。地球そのものを把握するためには、海底表面のみならずその。上部にある海水構造も調査しなければならないし、海底の下部構造も調査しなければなりません。よって、当部で担当している機器開発も、その対象が海底表面に限らず、海洋、海底、海底下へと広がるとともに、機器の能力も、単純なものから高精度高機能化へと要求が高まっています。深海開発技術部の特徴は、他部が理学系研究者の集合であるのに対して、当部は工学系研究者の集合であるということです。その専門分野は造船工学、機械工学、電気工学、音響工学、情報・通信工学、制御工学、運動力学など多岐にわたりますが、理学系研究者の目指す目標と同調して、上述の高い要求にも対応できるよう、今後、内在的な技術ポテンシャルを高めていくことが重要となります。

 

 

 

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